vol.10 新規事業開発

これまでは既存市場の中で既存の顧客価値を広める活動に関する戦略、つまり競争戦略のうち主に市場浸透について述べてきましたが、今回は新市場または新製品の開発である新規事業開発の考察を通じて成長戦略について考えてみます。成長戦略を分析するために用いられるのが、アンゾフの製品・市場マトリクスという有名なフレームワークです。縦軸に製品(顧客提供価値)、横軸に市場をそれぞれとり、以下の①~③の3つから進むべき方向を決めることになります。

①既存市場の深耕(市場浸透)
製品やターゲットとする市場もほぼ現有のもので、現在のビジネスをさらに製品・市場別に細分化し、どのセグメントに経営資源を集中的に投入するかを突き詰めて考え、シェアアップを図っていきます。

②新市場の開発(市場開発)
既存の製品や技術、サービスを新たな用途の市場や地域、販売チャネルへの展開を進める戦略です。海外展開や新たなボリュームゾーンなど新規の市場へ展開するため、顧客ニーズの把握や市場開発のノウハウが鍵となります。

③新製品の開発(製品開発)
既存の顧客や販売チャネルに対して、拡大した製品・サービスメニューで深掘りする戦略です。新市場開発とは異なり顧客との密着化が基本となり、他社の参入を阻む目的でメンテナンス事業やエンジニアリング事業を展開し、顧客との関係強化のケースが該当します。

④多角化
既存ビジネスの成長が期待できないような場合に、製品も市場も異なる新たなビジネスを展開する戦略です。そもそもこの領域は製品やサービスの強みも、市場の知見も乏しいため、撤退を余儀なくされるリスクが高いので参入には覚悟が必要です。

このように、中長期の経営ビジョンのもと、会社の将来像をにらみ、自社はどの製品や市場に成長を目指すべきか方向性を定め、新市場や新製品の開発を進めなければなりません。ここで、重要なことは原点に立ち返り、自社は「誰に」「何を」「どのように」という3つの成長軸から製品やサービス、価値の提供を拡大していくのか、自社の事業領域(ドメイン)を再認識することなのです。

ドメインを認識したうえで、これからの経営環境や業界変化を見通し、各成長軸をどのように拡大していくのかを検討し、その成長軸の拡大に基づいてドメインを再定義することが新製品・新市場開発の基本原則です。その新たな成長軸に基づいたドメインを会社の将来を担う事業単位に絞り込み、活用できる経営資源を明確にしたうえで、具体的なビジネスのテーマや機会の発掘を進めていくのです。

このように見ていくと、新規事業開発とは、新規顧客開拓そのものであり、既存顧客に対するクロスセル的アプローチであり、まさしくマーケティングと営業活動の新たな展開に他なりません。「誰に」「何を」売るのかを固めた後、「どのように」売るのかを考えることは、これまで考察してきた「マーケティング+営業」施策そのものであるわけです。

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