vol.6 既存顧客向け営業戦略②

前回は、ABC分析とランチェスター戦略の応用による、BtoB企業の既存顧客に対する営業戦略の概要について言及しました。顧客売上額と顧客内シェアのマトリクスにより、営業姿勢(攻め、守り、維持、放置)と重要度を格付け分類し、効率的でメリハリのある営業活動が可能になることをお話ししましたが、今回は売上アップにつながる具体的な活動内容とPDCA管理について説明します。

まず営業姿勢については、攻め・守り・維持・放置の4パターンとなり、それぞれのパターンついて、具体的な戦法や月間の商談密度などを設定します。ただし、例えば、同じ「守り」でもAaとBaのように売上額が大きく異なる場合、同じ訪問回数では明らかに違和感を覚えることがありますので、ここでは重要度を併用して扱いに濃淡をつけることになります。重要度は3~4段階で良いのではないでしょうか。それぞれ、重要度Ⅰは、Aa(守り)、Ab(攻め)、Ac(攻め)、重要度Ⅱは、Ba(守り)、Bb(攻め)などと設定します。

では、具体的な手順ですが、まず重要度の高い方から順番に営業姿勢ごとの戦法を考えます。例えばAa(守り)については「大口自社メイン先であり、絶対に死守する。特別に顧客支援体制を組み、トップ訪問で関係を緊密化し、競合のつけ入る隙をなくす」、Ab(攻め)については「大口先だが断トツ1位が不在の状況である。上位客の中から特に将来のAa昇格候補を選定し、意図的に攻撃量を増やす」などというように個別に戦法を決めます。

戦法が決まったら、次は月間の商談回数と一回ごとの商談時間の目標を設定し、営業担当者の活動基準をまとめます。この活動基準を作成する目的は、営業担当者の行動変革を促すことにあります。具体的には、➀生産効率の良い営業活動に専念する ②訪問すべき顧客を訪問する ③訪問しやすくするための「武器」を持つ ④営業活動のに対して時間コストの認識を持つ といった意識と行動の変革が目的となります。

このように戦術を細部にわたって考えると、必ずと言って良いほど、「回数や時間の目標を設定するだけでは効果がない」とか「顧客の都合があるのだから計画通りにはいかない」と異議を唱える声が内部から湧き上がってきます。しかし、商談回数と営業成績の間には相関性が間違いなく存在すること、そして計画通りにいかないから計画を立てて管理することが必要だということを理解させることが大切です。

計画を立てるに当たっては、直近半年間程度の顧客重要度別の訪問実績を日報データから集計しておくと効果的です。今までいかに無計画な営業活動を展開してきたかを反省し、今後重点先を中心とした活動に転換を促すことができます。訪問計画の作成に当たっては、担当者一日当たりの重要顧客訪問回数、重要先訪問比率、担当者一日当たりの訪問客数、月間在社日数などをKPIとして掲げ、目標値を設定し、日報と月報でPDCA管理するのが良いでしょう。

こういった取組みを地道に重ねることにより、既存顧客の効率的な深掘りを進めることが可能となります。更に個々の提案レベルや対人能力を徹底的に磨き上げ、目標達成に対するインセンティブの付与など、体制面でのバックアップを進めることにより、飛躍的な売上拡大を達成したケースもたくさんあります。このようにやるべきことは全て基本的なことであり、基本に忠実に直向きに取り組めば必ず結果はついてくるのです。

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