vol.4 顧客満足度と新規顧客開拓

前回はBtoB取引におけるセールス活動について触れ、前々回と併せてインターネットを中心としたマーケティングとプル型主体のセールスの連携により新規顧客開拓を進めることが効果的であることをお話ししました。この仕組みは今やBtoBビジネスでは王道と言っても過言ではありません。

しかし、インターネットの普及が進んだ結果、得られる情報量が劇的に増え、世間の関心は情報の量から質へと移ることとなり、購入者側の情報に対するスタンスは信頼性が確認できて初めて価値ある情報と位置づけるようになりました。
例えばBtoCの取引展開を見ると、「家」や「自動車」など一生のうち何度も購入しないような高額商品などは、クチコミや紹介を介した取引が重要な部分を占めており、情報の信頼性が強く影響すると言われます。これは高額商品の購入経験が少なくノウハウも持ち合わせていない購入者が失敗を回避したいという思いから、購入経験者からのクチコミや知人からの紹介を重視する行動に出るためです。このように高額であまり頻繁に購入しない商品のBtoCビジネスでは、既存客自身のリピート購入を期待するよりも既存客の知人等、評判が伝わりやすい人を狙ったマーケティングや営業活動が効果的であると言えます。

一方、BtoBの高額商材取引においても最近は同じような傾向が見られます。購入に当たっては自社と似たような業種や規模の企業が導入した事例を探したり、そのような企業に対して情報収集の目的で直接問いかけを行い、購入先の紹介を依頼するケースもあります。いわばBtoCの口コミや紹介と何ら変わりない行為であり、モノ余りで低成長、情報も氾濫している現代においては高額商材ばかりでなく、多頻度の小額商材も含めた取引でもクチコミや紹介を介した購買行動がごく普通に行われるようになりました。

BtoCであれ、BtoBであれ、自社がクチコミや紹介で選ばれ、新規顧客を獲得できるようになるには、紹介元である既存顧客の満足度が鍵となります。ただし、ここでいう顧客満足度というのは、これまで既存顧客との良好な関係の維持や取引継続の目的で取り組んできた満足度向上のレベルでは不十分なのです。そのレベルとは、全体的にはそこそこの満足度を確保しながらも何か一つでも良いから他社を凌駕する特長を持っている必要があります。例えば納期対応、小ロット対応、あるいはサービスレベルでも何でも良いのでこれだけは絶対他社には負けないという、際立った強みを持つことです。従って、紹介営業が期待できる既存得意客に対しては特別対応で意識的に満足度を上げるといった戦略的差別化行動も有効でしょう。人間の心理として、他人に何かを紹介するときには、自分が最高水準の印象を抱いた商品やサービスを勧めたいと思うはずです。紹介する方にも紹介責任が発生しますので、「そこそこ」や「まあまあ」程度のレベルであれば自分は満足していても、積極的に他人に進めようとはしないのです。

クチコミや紹介による営業活動は、間に知人や体験者が入ることで売り手に対する不信感や不安感がある程度払拭された段階からスタートするので、大変成功率が高いと言われています。そのアドバンテージを上手く利用して確実に新規顧客を獲得するには、既存顧客の満足度向上から仕掛ける必要があるのです。

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