vol.3 見込客獲得の難しさ

前回は、新規顧客を獲得するプロセスにおいてマーケティングとセールスの両方が一体的に機能しなければ売れる仕組みは成立しないことを述べました。今回は、効果的な新規顧客獲得活動についてセールスの視点から考えてみます。

モノ余りの現代においてはビジネスが成熟化し、余程のヒット商品でもなければ、顧客との取引は年々減少することになります。つまり、既存顧客との取引だけでは業績の維持・拡大には限界があり、やがてはジリ貧状態に陥りことが目に見えているので、どうしても新規の顧客を発掘する必要があるわけです。

新規開拓や販路拡大はどの会社にとっても大きな難題の一つです。ほとんどの場合、売り先の選定からスタートしなければならず、既存顧客との取引と比べて労力やコストが何倍もかかるうえに、受注に至る確率も低いため営業担当者にのしかかるストレスも大きく、新規開拓に取組むモチベーションがなかなか上がらないという問題に直面してきました。

近年こうした営業現場の問題を解決したのがインターネットの登場です。企業はWEBサイトを通じて将来の顧客候補である潜在客に向けてどんどん情報発信をすることで、顧客との距離を徐々に詰めながら商談獲得のチャンスを拡げてきました。他にもメルマガや、FAX、DM、最近ではSNSなどを活用するケースも増えており、かつて営業担当者のストレスの種となっていた飛び込み営業や電話営業などは影を潜め、今やプッシュ型からプル型へと新規開拓アプローチの姿が大きく変化を遂げました。

しかし、忘れてはいけないことは、これはあくまでも売り手にとって使い勝手の良いアプローチ手段が登場しただけのことであり、買い手の購入意思はあくまでも売り手に対してトータルの価値を見出すことができるかに掛かっていることは、今も昔も変わっていないということです。どんなに綺麗なWEBサイトを立ち上げSNSを駆使しても、それだけで買い手が購入を決定することはありません。むしろそのサイトから質の低い情報しか得られなければ逆効果となり、それ以降は自社サイトを訪れる潜在客も減少し、商談への移行も悲観的に低い確率となるでしょう。

では、どのような情報を掲載すれば見込客が得られるのか。一般的に潜在客は、彼らが直面している問題に関する解決のヒントが得られる情報を入手できたときに、自らの属性情報を明らかにして見込客の仲間入りをするのです。例えば、丁寧な事例紹介などは有益情報として買い手の関心を大いに惹きつけます。しかし、そういった問題解決の方向性を上手に発信できている企業は思いのほか少なく、実はこの時点で販売機会を逃しているケースもあるのではないでしょうか。

このような事態が発生する背景としては、自社商品やサービスの特長や強みが自分たちで整理できていない、あるいは売り手と買い手の認識がズレていることが考えられます。これによる機会損失を防ぐには、ある程度受注実績が蓄積された段階で、どのような顧客が、どのような売り方をしたときに、どこに価値を見出したのかをきちんと分析し、見込客獲得や商談移行のアプローチに活用することが有効です。また、売れる理由も一つとは限りませんので、買い手に役立ちそうな情報は惜しみなく提供する姿勢が大切です。

新規開拓も工夫次第で受注確率を上げることが可能なのです。ここでご紹介した内容以外にも打ち手はいくつかありますが、BtoB取引の特徴を活かし、事業特性や商習慣なども考慮しながら、自社にとって効果的な方法を選ぶことが肝要と言えます。

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